ウィメンズヘルスを当たり前にしたい!【井澤 美保 / 理学療法士】

取材日:2022/12/2

井澤 美保(いざわ みほ)

理学療法士として病院に勤務。自身の妊娠出産をきっかけにウィメンズヘルスに興味を持つ。病院の理解を得られたため、最初は院内で活動。現在は独立し、個人事業formを立ち上げてウィメンズヘルス領域に携わっている。
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どうもhospass運営局です!”病院はパスする時代”を創出するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています!

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理学療法士の資格を持ちつつ、現在はForMを運営されている井澤さんを取材させて頂きました!

記事の見どころ
  • 現在の事業を始めるまでの経緯
  • 事業に詰まっている想い
  • hospassを通して伝えたいこと

理学療法士になろうと思ったきっかけを教えてください!

高校2年生の時に、理学療法士でスポーツトレーナーの方の雑誌の記事を読んだことがきっかけです。

私は陸上が好きで、中学高校と陸上部に所属していました。私が高校2年生の時に怪我をして、近くのクリニックを受診したんです。そこで初めて理学療法士の存在を知りました。ちょうど将来のことを考える時期で、当時は陸上にずっと関わっていきたいと考えていました。

その時目にした雑誌が、企業のスポーツトレーナー記事だったんです。自分の好きなことに関われる仕事があるなんて!理学療法士はなんて素晴らしい仕事なんだ!と思ったのがきっかけです。雑誌を見ていなかったら理学療法士になっていなかったかもしれません。今考えるとスポーツトレーナーは理学療法士の中でも少数派なんですが(笑)

現在の事業を始めるまでの経緯について教えてください。

自分の妊娠出産をきっかけに、ウィメンズヘルスに興味を持ったのが一番最初のきっかけです。

1人目を妊娠したとき、助産師さんに言われた通り毎日2時間歩きましたが、出産予定日をオーバーして、陣痛促進剤を使って出産しました。どんな運動療法が効果的だったのか、疑問に思い調べましたが、明確なエビデンスがなかったです。

自分で調べようと思い、2人目の妊娠の時に心肺運動負荷試験(CPX:モニタリングをしながら検査用のマスクをつけて自転車を漕ぐ)を妊娠6ヶ月〜10ヶ月目まで計測。妊婦で心肺運動負荷試験をやる人なんていなくて(笑)学会で1ケーススタディとして発表したことをきっかけにウィメンズヘルス領域に繋がりができました。

職場復帰後、ウィメンズヘルスに関わると決意していたので退職するつもりでした。

しかし、泌尿器科医から女性の尿失禁・骨盤臓器脱に関する外来を作りたいという話を頂き、結果的に私のやりたいことに繋がると考え、まずは2014年に女性泌尿器リハビリテーション外来を自費開設しました。

その後、フランスの手技であるガスケアアプローチ(姿勢と呼吸から骨盤底筋群に働きかけるアプローチのこと)を同時通訳で学び、アメリカから先生を呼んで経膣触診での骨盤底筋トレーニングについて学びました。そして2015年に、集団で女性のための骨盤底教室を自費開設しました。

私は周りの環境・人に恵まれていたので、ウィメンズヘルスについて学び、実践する機会がありました。しかし他の方々から、そもそもセラピストから学ぶ機会がない、学んだことを共有する場がない、部内の理解が得られないという声を聞いたんです。それならアウトプットする場所を作ろうと思い、2018年にHAGURUMA women’s helth supportを立ち上げました。

ここまで病院勤務をしながら活動していましたが、2020年に個人事業Connectとして独立。2022年にForMという名前に変えて現在活動しています。

現在の事業に詰まっている想いについて教えてください。

ウィメンズヘルスを当たり前にしたい。自分の人生を自分で選択してほしい。

ForMでは、セラピストの育成、サロンの経営、フェムテック(女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決できる商品)の販売促進を行っています。

私は女性を守りたくて活動しているわけではありません。女性の健康課題に対して相談できる場所を作り、自分で選択出来る女性を増やしたい。そのためには情報が分かりやすいところに必要です。

女性が生きていくなかで身体がどのような変化を辿るのか知り、自分の人生をどのようにデザインしていくのか、主体的に考えられるようなきっかけをつくりたい。女性の健康課題について伝え、ウィメンズヘルスを当たり前にしたい。自分の人生を自分で選択出来る。そんな当たり前を届けたいです。

今後の目標について教えてください。

気軽に相談出来る場所として、複合施設を作りたいです。

私にとって周りの方々の声が原動力になるんですが、やはり「どこに相談すればいいか分からない」という声を聞きます。気軽に相談できる場所として、カフェが併設されているような複合施設を作りたい。その場所が皆が集まってワクワク出来るような、地域のハブのような役割になればいいなと。まちづくりのひとつにしたいです。

何か健康課題を抱えている人だけではなく、予防事業にも力を入れたいです。予防事業はどうしても興味を持ってもらいにくい分野なので、どうアプローチするかが難しい。恐怖を煽るのは違う。だからこそ、やりがいのある面白い分野でもあります。今後、皆が楽しめて予防事業にも繋がるようなフェスイベントを開催したいです。

hospassを通して伝えたいことについて教えてください。

自分らしさを大切にどう挑戦していくか、どうしたらよりチャレンジの幅を広げられるか考えてほしい。

私は理学療法士だけの自分が嫌なんです。どう技術を向上させるか、どうキャリアアップしていくか。私を構成しているものは理学療法士だけではないんです。女性として母として娘として、どう家族をデザインしていくか。自分らしさを大切にどう挑戦していくか、どうしたらよりチャレンジの幅を広げられるか。

医療の中だけにいると、どうしても視野が狭くなってしまうんです。医療者以外の方と繋がると面白いし、世界が広がります。色んな人に会って自分の価値観を広げ、自分の得意なことを伸ばしてほしい。色んなことにチャレンジしてほしいです。

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